カメダ タツヤ KAMEDA Tatsuya
亀田 達也
所属 明治学院大学 情報数理学部 情報数理学科
職種 教授
研究期間 2016/05/31 ~ 2021/03/31
研究課題 集合行動の認知・神経・生態学的基盤の解明
実施形態 科学研究費補助金
研究委託元等の名称 日本学術振興会
研究種目名 基盤研究(S)
研究機関 東京大学
研究者・共同研究者 亀田 達也,坂上 雅道,伊澤 栄一,竹澤 正哲,小川 昭利,大槻 久,犬飼 佳吾
概要 集合現象の基礎となる行動・認知・情動の同期化と同調について、視線・瞳孔変化 や末梢自律神経活動の計測、fMRIによる脳活動計測を中心に検討を進めた。例えば、認知神経科学の計測技術を用いて、社会心理学の古典であるSherif(1936)の規範形成実験を再吟味した研究について述べる。Sherifの実験では、相互作用を通じて、人々の間に「光点の運動量」の判断に関する共通反応傾向が形成されたことが報告されている。Sherifはこの結果を、共通の準拠枠(規範)の形成に基づくと解釈したが、行動の収束のみから、認知レベル(“準拠枠”)の収束が起こったと解釈することには飛躍がある。本研究では、単純な物理課題(ドット数の推定)における人々の認知過程を数理的にモデル化し、相互作用が実際に認知レベルでの収束をもたらすことを厳密に実証した。さらに、そうした認知的収束には、左右の側頭-頭頂接合部(TPJ)が関与することを、モデルベースの脳活動解析により明らかにした。また、インターネットを用いた大規模集団実験では、選択肢の質が時間経過と共に変化する実験パラダイムのもと、699人の参加者がオンライン上で行動選択をした。参加者の行動選択のパターンを階層ベイズモデルにより解析した結果、①人々は集団サイズや課題の不確実性に応じて個人としての学習戦略を調整すること、②個人レベルでの学習戦略の調整が集団のマクロ・パフォーマンスに大きく影響することが明らかになった。カラスの群れにおける集団採餌戦略の可塑性について同様のパラダイムを用いた実験を行い、アルゴリズムの観点からヒトとの異同を検討するためのモデル化を進めた。
PermalinkURL https://kaken.nii.ac.jp/file/KAKENHI-PROJECT-16H06324/16H06324_saitaku_gaiyo_ja.pdf