言語種別 | 日本語 |
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発行・発表の年月 | 2017/03 |
形態種別 | 【論文】研究論文(学術雑誌)<査読あり> |
査読 | 査読あり |
標題 | フランス共和国における<ムスリム女性>の解放
――政府統合高等審議会(Haut Conseil à l'Intégration: HCI)におけるライシテの語り―― |
執筆形態 | 単著 |
掲載誌名 | 『国際学研究』 |
掲載区分 | 国内 |
出版社・発行元 | 明治学院大学国際学部 |
巻・号・頁 | 50,39-62 |
概要 | 「宗教的標章の着用をはじめ,ムスリム系マイノリティの行動はそのムスリム・アイデンティティゆえ に,欧州のリベラルなシティズンシップと対立する」という意見は珍しくない。本稿では,フランスを事 例に<対立>がどのように構築されたのかを政府の常設諮問機関,フランス政府統合高等審議会 HCI の全 報告書 31 冊の検討を通じて明らかにした。その際に,市民の信仰を規律する法的原則のライシテに注目し, ムスリム系マイノリティの行動がライシテと<対立>すると判断される過程を分析した。<対立>が全国 メディアで初めて問題となる 1989 年から 2002 年まで報告書は<対立>は法的には存在しないことを確認 し,事態を沈静化しようとする。しかし 2002 年以降,HCI は<対立>をつくり出すために法解釈の変更や 立法を提案するようになる。この<対立>は,イスラームの名の下で移民出身男性に抑圧される女性を解 放するフランスという図式で語られた。この<対立>の強調によってシティズンシップ自体の危機は不可 視化される。 |